ファストファッションの全盛期は終わった。極論ではあるが、少なくとも日本においてはこれまで以上にファストファッションが「盛り上がる」理由が見つからない。
原宿にH&Mの日本一号店がオープンしたのは2008年秋。リーマンショックと時期が重なったことも功を奏し、若い世代から大人までが長蛇の列に並んで買い物をした。中には首の座っていない新生児を抱きながら通路で試着する新米ママもいた。時期を同じくしてその年の秋冬はユニクロのヒートテックが全国的大ヒットとなったこと、Forever 21の日本進出が重なったことなども「ファストファッション」という言葉をより一層盛り上げる要因となった。
それから約2年。H&Mは武蔵村山でも買えるようになり、ユニクロはH&Mに対抗して全店に拡大したファッションアイテムで失敗した。高所得層は消費ダイエットに飽きて高価格帯の商品にも戻り始め、低所得層の生活は改善せずに「ユニクロでも高い」と思うようになった。中所得層も家には既に十分な衣服があり、育ち盛りのこども用でもない限り洋服の数は足りている。ファストファッションを意識して小売価格を下げたアパレル企業も多く、価格差も減った。
中国のようにGDP成長率が10%前後見込める成長国や、先進国でも移民などの若年層の人口増が見込める都市ではファストファッションの成長余地は大きい。しかし、日本は世界に類を見ない高齢社会である。必要なのは見た目の流行ではなく、快適に過ごせる好価格商品なのだ。